もり小児科クリニック (小児科・夜尿症・発育外来・予防接種)
TEL.075-603-7178
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○子どもの成長障害
 ○どういった時に受診すればいいの?(図1)(表1)
  1.低身長のあるとき
  2.低身長ではないが、ある時期より急に背が伸びなくなったとき
  3.年齢不相応に急速に身長が伸びるとき
  4.ものすごく心配でどうしたらよいかわからないとき
 ○低身長の原因にはどんなものがあるの?(表2)
  1.家族性低身長
  2.体質性低身長
   (1)SGA性低身長
   (2)思春期遅発症
  3.生まれつきの病気による低身長
  4.内分泌性低身長
  5.慢性疾患性低身長
 ○専門外来では何をするの?
 ○低身長症の治療はどうするの?


○子どもの成長障害

 こどもが大人と大きく異なることの1つに「成長する」ということがあげられます。それがうまくいかない場合、何らかの生活習慣の問題や大きな病気が隠れていることがあります。そのため成長の問題を放置すると、病気の原因によっては、生命に関わったり、後遺症が残ったり、健康上の問題が残ったり、背が低いことによる心理的問題など、その後の生活に大きな問題が残ることもあります。


○どういった時に受診すればいいの?

 まずは成長曲線(発育曲線)をつけてみましょう(図1)。成長曲線は、母子手帳にもありますし、クリニックにもありますので、気軽にお申しつけ下さい。

 そして表1のような場合は、医療機関に相談する必要があります。

図1 成長曲線でみる受診が必要な成長パターン

   

(図をクリックすると拡大されます)

表1 低身長で受診が必要な場合

1.低身長のあるとき
2.低身長ではないが、ある時期より急に背が伸びなくなったとき
3.年齢不相応に急速に身長が伸びるとき
4.ものすごく心配でどうしたらよいか分からないとき

1.低身長のあるとき

 低身長とは、成長曲線(発育曲線)のいちばん下の線(3パーセンタイル、あるいは-2SD)より身長が小さい場合をいいます。3パーセンタイルあるいは-2SDとは、統計学的に「100人のお子さんがいた場合、前から3人まで(3パーセンタイル)、あるいは2.3人まで(-2SD)までを『低身長』と決めよう。」ということです。こう決めると100人のお子さんがいた場合、うち2~3人は理論的には『低身長』ということなります。なぜ『 』をつけたかというと、当然ながらこうしたお子さんのほとんどが健康で、病気などはほとんどない、といえるからです。

 「低身長のあるとき」というと、少し変な表現だと思われるかもしれません。これは、「うちの子は、他の子より小さいのではないか」、と心配になった場合でも、ほとんどのお子さんは正常範囲のことが多いためです。現代社会のように背が高い人の方がカッコイイと思われたりする時代は、真ん中より少し小さいだけでも気にしたりする人もいるくらいです。

 こういうときは、実際にお子さんの身体計測の記録から成長曲線を作ってみるのがいちばんです。小さいように思えても、成長曲線のいちばん下の線(3パーセンタイル、あるいは-2SD)より大きい場合は、低身長とはいいません。

 成長曲線の一番下の線(3パーセンタイル、あるいは-2SD)よりも身長が下回るときは、一度受診していいと思われます。

 ただ先ほども書いたように、心配しないでほしいのは、3パーセンタイルあるいは、-2SDより小さい場合でも、極端に下回っていない限り、線に沿って伸びている場合は、病気の可能性は少ないということは強調しておきたいです。こういう場合、何か検査をする場合でも、「病気を見つけよう」というより、「病気が何もないのを確認しよう」という意味が強くなります。
 
2.低身長ではないが、ある時期より急に背が伸びなくなったとき

 低身長ではないが、ある時期より急に背が伸びなくなり、成長曲線の線を横切って下がっていくようなときは、その時期より何らかの病気を発症している可能性が高いため、たとえ身長が正常範囲であっても受診することをお勧めします。

 後述するように、子どもに何らかの長びく病気(慢性疾患)が起こったときは、はたから見ていて元気そうであっても、気づかないうちに背が伸びていないことがあります。逆に背が伸びない原因を調べるうちに、慢性疾患が見つかることがあります。


3.年齢不相応に急速に身長が伸びるとき

 お子さんの発育の原則は、「成長曲線に沿って育つ」ということです。これが、ある時期より急に背が伸びだし、成長曲線から外れている場合は不自然です。

 ふつうは急速に伸びる時期ではないときに、不自然に急速に伸びるときは、成長ホルモンが過剰に分泌される下垂体腺腫という病気が隠れていたり、あるいは汗をかきやすい、動悸がする、体重が減るなどの症状が伴っている場合は、甲状腺機能亢進症が隠れていたり、二次性徴(女児の場合、胸が大きくなる、陰毛が生える、月経が起こる、男児では、睾丸が大きくなる、陰毛が生える、声変わりが起こる)などが伴われる場合、思春期早発症といった病気があったりします。

 思春期早発症では、急速に背が伸びるのですが、同時にあまりにも早く大人の体になってしまうので、そこで身長の伸びが止まってしまい、最終的には身長が低いままとなってしまいます。また年齢不相応に急速に大人の体になることによる心理的な影響などの問題も大きくなります。そして、とくに男の子の場合、脳腫瘍などの原因が隠れていることがあります。


4.ものすごく心配でどうしたらよいかわからないとき

 自分であれこれ調べてみても、やっぱり心配でしようがない、という場合も一度相談された方がよいと思います。

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○低身長の原因にはどんなものがあるの?(表2)


表2 低身長をきたす疾患

1.家族性低身長
2.体質性低身長
  SGA性低身長、思春期遅発
3.生まれつきの病気による低身長
  ターナー症候群、軟骨無形成症、ラッセル=シルバー症候群ほか
4.内分泌性低身長
  成長ホルモン分泌不全性低身長症、甲状腺機能低下症、副腎皮質過形成症ほか
5.長びく病気による低身長
  慢性腎不全、アトピー性皮膚炎(厳しすぎる食事制限など)、
  気管支喘息(重症で治療がなかなか有効とならない場合)、
  心疾患(心不全をきたしているなど)、
  消化器疾患(栄養が長期にわたり吸収されない状態が続く、下痢が続くなど)、
  愛情遮断症候群・被虐待児症候群ほか

1.家族性低身長

 家族みんなの体格が小さく、遺伝的なもので、特に病気とは考えられないもの。低身長の中で原因としてもっとも多いものです。

2.体質性低身長 

 我々ヒトの成長には、栄養や、成長ホルモン、性ホルモンといった様々な因子が作用しています。0~3歳頃までは、胎児期の急速な成長状態の影響がそのまま続き、その後思春期までは成長ホルモンが重要な役割を果たします。思春期になると性ホルモンにより急速に身長が伸びるとともに、体が成熟して大人の体になり、最終身長に到達します。体質性低身長とは、病気ではなく、これら3つの時期のうち、各時期に発育に必要な要素が他の人より少ないために発育がやや悪い人のことをいいます。これらには、SGA性低身長や思春期遅発症などがあります。このうちSGA性低身長症については、最近は世界的にも治療した方がよいという方向になってきています。

(1)SGA性低身長

 SGAとはSmall for Gestational Ageの略で、「在胎週数に比べて小さい」という意味です。同じ週数で生まれた赤ちゃんの中で、身長・体重が10パーセンタイル未満、例えば、初めての男のお子さんが40週で生まれた場合、身長で46.7cm未満、体重で2650g未満であれば、SGAとなります。

 SGAの原因は色々とあって、お子さん自身に何か病気があった場合、おなかの中にいるときに胎盤がうまく働かなかったりへその緒がねじれていたりして血流が悪かったりといった理由でお母さんからうまく栄養を摂ることができなかった場合、また妊娠中にお母さんに何か病気であった場合など、おなかの中でうまく育つことができなかった状態と考えられます。

 ただ、心配しないでほしいのは、SGAで生まれたお子さんのほとんど(約90%)は、その後2歳までに、正常範囲に急速に追いつきます。

 しかし、2歳までに追いつくことができなかったお子さんでは、その後追いつく可能性が少ないことがわかっています(SGA性低身長症)。また、こうしたお子さんでは最終的な身長が小さくなるのみならず、成人してから肥満、高血圧、糖尿病などのいわゆる生活習慣病が、そうでないお子さんよりも多くなるといわれています。

 SGA性低身長症のお子さんに対しては、成長ホルモン治療を行うことにより、最終的な身長が改善することに加え、こうした生活習慣病をきたしやすい体質も改善するのではないかといわれてきており、わが国でもSGA性低身長症に対する成長ホルモン治療が保険で認められるようになりました(平成20年10月~)。

(2)思春期遅発症

 他の子どもが二次性徴により急速に背が伸びている時に、二次性徴が遅れた場合、周囲と自分との身長に大きな差がでてきます。ほとんどがいわゆる「おくて」といわれるもので、思春期の発来が他のお子さんに比べて少し遅いだけのことがほとんどですが、まれに原発性性腺機能低下症などの病気が隠れていることもあり、あまり遅れすぎる場合などは、検査が必要となります。

3.生まれつきの病気による低身長

 ターナー症候群、軟骨無形成症、ラッセル・シルバー症候群といった病気(※)のお子さんは、背が低くなります。その他にも生まれつきの病気で低身長となる病気はたくさんあります。こうした病気のお子さんは、低身長の治療のみならず、その子の全体的な健康状態の把握等も必要になります。

 ※便宜上、「病気」ということばを用いましたが、ターナー症候群などは、病気というより1つの体質と考えよう、という考え方になってきています。

4.内分泌性低身長

 成長ホルモン分泌不全性低身長症、甲状腺機能低下症、副腎機能低下症など、ホルモン分泌臓器の病気は、どの病気も低身長をきたす可能性があります。

5.慢性疾患性低身長

 親にかわいがられていない子どもや虐待されている子ども、アトピー性皮膚炎で過度に食事制限をした場合、重度の喘息で治療が有効でない場合、心臓の病気で心不全がある場合、慢性腎不全、腸の病気で長期間食べ物がうまく摂れないなど、「長引く病気」は全て低身長の原因となりえます。

 逆に非常に元気なのに、背が伸びないということで調べたら、こうした病気が見つかる、ということもあります。

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○専門外来では何をしているの?

 低身長を訴えて来院された場合、詳しい問診と診察を行い、必要に応じ、採血検査や手の骨のレントゲン検査などで、発育状態をチェックするとともに、何か病気が隠れていないかを調べます。

 さらに、詳しい検査が必要と判断された場合、必要に応じ、染色体検査や内分泌負荷試験等の検査を行います。また、一般のクリニックではできない遺伝子検査や脳のMRI検査などの検査をする必要であると判断された場合は、専門の医療機関と連携して検査をしてもらうこともあります。

○低身長症の治療はどうするの?

 何か原因となる病気が明らかになった場合は、その病気に応じた治療を行うことで、身長の伸びが回復することもあります。一般のクリニックでは治療が難しい病気では、より高度な専門医療機関への紹介が必要な場合もあります。

 成長ホルモン分泌不全性低身長症や、SGA性低身長症、軟骨無形成症、ターナー症候群、慢性腎不全などの病気の場合は、成長ホルモン治療により治療が可能ですが、ただ背を伸ばせばよいというのではなく、それぞれの病気に応じた専門的な健康管理が必要となります。




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